2012年5月13日日曜日

基本動詞をマスターしよう(Have編)

第1話 基本動詞をマスターしよう
はじめに
英語のネイティブ・スピーカーは、日常生活において、have、make、take、get などの基本動詞を使いこなすことで、ほとんどの動作を表現しています。
しかし、日本では中学の英語の授業で、 do は「する」と訳すように教わっているので、日本人は何かというと do を使いすぎる傾向があります。日本語では「練習する」「読書する」などのように、「名詞 + する」でたくさんの動作を表現するので、つい do を使ってしまうのでしょう。
英語では「…する」を表現するには、have、make、take、get を使うのです。これらの基本動詞を上手に使えば、非常に多彩な動作を表現できますので、難しい単語を使う必要もありません。ぜひ、基本動詞の使い方をマスターして、表現の幅をおおいに広げてください。
基本動詞の使い分け
have、make、take、get などの基本動詞にはそれぞれ役割があるので、きちんと区別して使いましょう。
次の各文の意味の違いがわかるでしょうか。
・I make a reservation.
・I have a reservation.
・I've got a reservation.
・I did a reservation.
I make a reservation. は「予約する」という行為をイメージの中心に置いています。
I have a reservation. は、予約した結果として、「予約してある」という状態です。行為そのものではなく、予約を継続して保持している状態を表しています。
ホテルのフロントに着いたときには、I have a reservation. と言います。
I had a reservation. と言った場合は、「過去に予約をしていたけれど、いまはなくなった」という状態です。すでにそのホテルに泊まって、チェックアウトしたか、予約をキャンセルしたという意味を含んでいます。
I've got a reservation. は I have a reservation. とほとんど同じ意味ですが、やや口語的な表現です。
I'll make a reservation. と言うのと、I'll get a reservation. と言うのとでは、意味合いが少し異なります。make には「苦労して何かをする」というイメージが含まれていますので、I'll make a reservation. と言った場合には、予約のために手間ひまがかかるニュアンスがあります。
「予約しました」と言うとき、I did a reservation. と言ってしまう日本人をよく見かけます。意味は通じますが、I made a reservation. のほうがずっと英語らしい表現です。
次回から、それぞれの基本動詞の用法について、具体的に解説していきます。


第2話 HAVE(その1) 


haveの機能
 have の語源はOE(Old English)です。OEとはゲルマン語系の古代英語のことです。ゲルマン語とは、イギリスを侵略したバイキングが使っていた言語です。
 英語のなかで、ゲルマン語系の単語が占める割合はラテン語系の単語に比べて小さいのですが、英語がゲルマン語系に分類されるのは、英語の文章を成り立たせている基本動詞の多くがゲルマン語系だからです。語源がゲルマン語系の動詞は、不規則変化をするという、やっかいな性質ももっています。
 have もゲルマン語系の単語なので、have を使いこなすためには、その意味よりも機能を理解して身につけることが重要です。have の最大の特徴は、1 所有・付属(持つ)を表す機能、2 使役(…させる)の機能、3完了形を作る助動詞の機能、があることです。
 今回は、1の所有・付属の機能をマスターしましょう。これは、Do you have a pen? のように、「持っている」という意味を表す動詞で、have のもっとも一般的な機能といえるでしょう。
 英和辞書で have を引くと、訳がいくつにも分類されていて迷ってしまうと思いますが、A has B. の目的語Bの種類によって、所有・付属の用法を次の3つに分類できます。
AがBという具体的な物を持っている状態を表す場合
 have は所有している「状態」を表します。
 ・I have a car.(車を持っている)
 ・I have a dog.(犬を飼っている)
 ・I have a sister.(姉/妹がいる)
Bが抽象的な概念、感情である場合
 日本語の「持つ」とは性質が異なるので、うまく使うには慣れが必要です。
 ・The old man had a bad memory.(その老人は記憶がよくない)[能力、性質]
 ・Do you have any questions?(何か質問はありますか)[考え]
 ・The man had a great shock.(その男は大きなショックを受けた)[感情]
 ・We had a wonderful time.(私たちはとても楽しく過ごした)[経験]
 ・I had a headache last night.(昨晩、頭痛がした)[病気にかかる]
AがBを所有するという行為を表す場合
 次のような場合、have は「所有するという行為」を表現します。やはり使いこなすには慣れが必要です。
 ・I'll have a holiday.(休暇を取るつもりだ)
 ・Have a seat.(座ってください)
 ・May I have this?(これをくれませんか)
 ・I had breakfast at eight.(8時に朝食を食べた)
 ・He has a bath.(彼はお風呂に入る)
 第3回では、2 使役(…させる)の機能、3 完了形を作る助動詞の機能を解説します。

第3話 HAVE(その2) 



have には、前回解説した「所有・付属」のほかに、「使役」「助動詞」の機能があります。それぞれ、詳しく解説していきましょう。
●使役の機能
 学生時代、「A has B + 動詞」は使役用法と習いましたね。例えば、I had her do the work.(彼女にその仕事をしてもらった)などです。
 have のほかに、get や make も使役動詞の機能をもっていますが、多くの人はこれらの使い分けができていません。次の例で、違いをイメージできるでしょう。
 あなたの部下に、素直な秘書のXさん、やり手だけどちょっと気をつけないとぷいっとしてしまうYさん、問題が多くいつも反抗的なZ君がいたとします。同じ仕事を依頼するのでも、相手によって have、get、make を使い分ける必要があります。

 ・I had X do the work.
 ・I got Y to do the work. 
 ・I made Z do the work.

 have は「これやっといて」「はい、わかりました」というイメージ。「当然やってもらえる場合」に使います。
 get の場合は「申しわけないんだけど、そういう理由なんだ。これやってくれるかな」「仕方がないですね、今回だけですよ」というイメージ。
 make の場合は「これぐらいのことはやってくれよな。今度もやらなかったら人事に言って左遷するからな」と、強引にやらせるイメージです。

<have+物+動詞の過去分詞形>
 ・I had my car repaired.(車を修理してもらった)
 ・He had his shoes shined.(彼は靴を磨いてもらった)

<have+物+ ... ing(進行形)>
 ・I had the water running.(水を出しっ放しにした)
●助動詞の機能
 「助動詞の機能」は、Have you ever been to France? のように、過去分詞を伴って完了形を作る用法です。完了形は学校で習ったけどよくわからない、という人が多いと思います。以下の用法を頭に入れてください。
ちょうど終了した(完了)
 ・I have just finished my homework.(宿題をちょうど終わらせた)
 I finished my homework. の場合、終わらせた時間の意識よりも、終わらせたこと自体に気持ちがいっています。
…したことがある(経験)
 ・I have been to London and Paris.(ロンドンとパリに行ったことがある)
 ロンドンとパリに行って現在はここにいる、という意味です。She went to London. の場合、行ったという行為を表します。She is in London. の場合は、現在ロンドンにいることを表します。
ずっと…している(継続)
 ・He has been playing computer games since 6 o'clock.(彼は6時からずっとコンピュータゲームをしている)
 付き合っている相手と電話で話しているときに、I'm thinking of you.(きみのことを考えているよ)と、I've been thinking of you. (きみのことをずっと考えていたんだ)とでは、どちらを言ってほしいですか。もちろん I've been thinking of you. でしょう。
時間の前後関係を明確にする
 ・I ate dinner after my husband had come home.(主人が帰宅してから、夕食をとった)
 英文のメールを書くときに、現在形と過去形だけではどうしても表現が単調になります。メールの場合、「ああして、こうして、こうなった」というふうに、物事の発生順に記述することが多いですね。
 返事が遅れて、なおかつ断るときには We have been discussing your recommendation for the past two weeks. However, I'm sorry to inform you that we cannot accept your offer. などと完了形の継続表現を使うと「ずっと努力してきたんだけど」という誠意が伝わるはずです。





第4話 HAVE(その3) 

今回は、have の使い方についてよく聞かれる質問についてお答えします。
●have を使うときの注意点
must と have to の使い分けはどうすればいい?
 「…しなければならない」を表すには must と have to が使われますが、きちんと区別して使っていますか?  must は have to よりも強く、「絶対に」という話者の意志を伝えます。
  ・You must send the report to him.(絶対に送らなくてはならない)

 「強く信じていること」を言うときも must を使います。
 ・There must be some mistakes.(何かの間違いに違いない)

 定期的に行うことには、have to を使います。must を使ってはいけません。
 ・You have to send a report every week.

 なお、must は現在形で使います。過去を表すには had to、未来なら will have to を使います。
 「絶対に」を強調する場合には以下のように未来のことにも使います。
We must get up at 7:00 tomorrow.(あすは7時に起きなければならない)
have got と have は使い分けが必要なの?
 映画などでは、I've got ... など、have got を使ったセリフがよく出てきますが、われわれ日本人の多くは、have got がうまく使えません。「問題がある」ということを表すとき、次の3つにどのような違いがあるかわかりますか?

 ・We've got a problem.
 ・We have got a problem.
 ・We have a problem.

 have got と have は、ほぼ同じ意味で使われますが、微妙な違いがあるとされています。
 have got は口語表現で、会話で使われます。We've got と We have got は同じですが、よりフランクな印象のある We've got が好まれます。書き言葉では We have を使い、We've got や We have got は使いません。
 have got はアメリカよりも、イギリス(British English)で多用されます。

 ・Have you got a map of London?(イギリスの店内にて)
 ・Do you have a map of New York City?(アメリカの店内にて)
have は進行形にできる?
 「動詞の have は進行形にしない」と学校で習ったと思います。第2回(haveその1、所有・付属の機能)で、主語に対する目的語の種類によって、have を3つに分類しましたね。このうち、have が「所有するという行為」を表す場合には、進行形にできるのです。

 1 AがBという具体的な物を持っている状態を表す場合→進行形にしない
 2 Bが抽象的な概念、感情である場合→進行形にしない
 3 AがBを所有するという行為を表す場合→進行形にできる

 1と2は「所有している状態が続いている」ので、進行形にする必要がありません。
 ・She is having beautiful blue eyes. ×
 ・She has beautiful blue eyes. ○

 3は、「行為が現在行われているとき」には、進行形にできます。
 ・He is having a bath now.(彼はいま、お風呂に入っている)
 ・She is having breakfast.(彼女はいま、朝食をとっています)



第5話 HAVE(最終回)


have のイディオムとフレーズはたくさんありますが、ここでは代表的なものを挙げました。ぜひマスターして、会話や文章の表現力をアップしてください。
●haveのイディオムとフレーズ
1. Brendan has a real eye for color, so I asked him to help me decorate my new office.
 have an eye for ... で「…を見る目がある」の意。体の部分を have の目的語にすると、能力を表すことができます。

2. Sam has such a good ear for languages; I think he should start taking Spanish lessons.
 
 have a good ear for ... で「…の音感がいい」の意。

3. He was really worried about his injured puppy, but he had a stiff upper lip.
 
 have(carry、keep)a stiff upper lip で「決然として不幸に立ち向かう、強情である」の意。

4. At first she thought she just had a cold, but now she thinks it must be an allergy.
 
 have a cold で「風邪をひいている」の意。健康状態を表すには have をよく使います。「ちょうど風邪をひいた」ことを表す場合には get、catch を使います。

5. I have no idea where Mark and Jim think they're going to get the money to open a restaurant.
 
 have no idea で「わからない」の意。「脳のなかに入るもの、考え」を have の目的語にして、思考・感情を表します。

6. BBM Inc. has a strong interest in purchasing stock in our company.
 have an interest in ... で「…に興味がある」の意。

7. Jewelers are having second thoughts about flooding the market with diamonds.
 have second thoughts は「考え直す」の意味。

8. Our daughter is having a hard time with history, so we're looking for a tutor.
 
 have a hard time で「苦労している、ひどい目に遭う」の意。時間に関する語を have の目的語にして、状態・経験を表します。

9. I have all day; I'm not going anywhere until you give me your answer.
 
 have all day で「時間がたっぷりある」の意味。

10. I have no time for anything but work this month, but we can see a show on the first or second, if you want.
 
 have no time for ... で「…する時間がない、…に関わっている暇がない」の意。




http://www.alc.co.jp/eng/vocab/verbs/ 抜粋




















0 件のコメント:

コメントを投稿